概要 | 理想的な税務調査への対応法 |
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ターゲット | 会計事務所勤務者、中小企業経理担当者 |
おすすめ度 | ★★★ |
残念度 | ☆(近年の法改正の関係上) |
発売日 | 平成24年4月29日 |
どうも、覆面税理士Kです。
今回は国税局出身の久保先生の税務調査本です。
経営者や事業主にとって、避けては通れない面倒な時間。
本書は、そんなやっかいな税務調査の内側を実体験をもとに解説したものです。
税務調査を実際に行うのは国税専門官という国家公務員になります。
よく「国家公務員はノルマなんてない」と陰口をたたかれることもありますが、
実際、調査官のノルマはどうなっているのでしょうか。
本書によると、調査官には『実地調査率』という訪問ノルマがあり、
『調査官1人が、1週間に1件の税務調査を実施しているイメージ』とのことです。
意外と多いですね。さらに、調査官の出世については、
『今まで担当した税務調査でどれだけ増差所得(税務調査前と後で、利益金額が
どれだけ変わったか)で評価されており、その金額が大きければ大きいほど
昇進・昇格が早くなり、出世できる』と内情を暴露しています。
むしろ一般企業と比べ、金額による成果が明らかになってしまうため、
競争原理が働きやすく、非常に過酷な世界なのかもしれません。
しかも、クライアント(納税者)からは常に敵対されているわけですし…。
話を戻すと、調査官は常に多くの案件を持ち、出世のためにはそれらを効率的に
さばいていく必要があるということです。
よって、税務調査1件に費やすことができる時間も限られており、
税理士は、そんな調査官の内情を把握しながら、
しっかりと税務調査に対応していく必要があるということになります。
とにもかくにも、久保先生。
知識もなく、抗議もしない税理士に対しては非常に辛口で、
巻末に『税理士レベルチェックシート』までつける徹底ぶり。
極めつけは、『保身税理士は切れ!』
この一言は、税理士にとっては、耳の痛い言葉でもあります。
ただ、あくまで本書は、税務調査に強い税理士を探すことを推奨しているので、
税理士や会計事務所勤務以外の方にとって、「知識本」ではありますが、
「実践本」としては難易度が高いかもしれません。
また本書発売後に税務調査手続等の改正、加算税制度の改正が行われています。
本筋に大きく影響するわけではないと思われますが、その旨はご注意ください。