著者:大村大次郎(ビジネス社)
概要 | 大企業、宗教法人、開業医等、上級国民の節税実態 |
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ターゲット | 意識高めのサラリーマン(電車で日経読んでいる層等) |
おすすめ度 | ★★★(税務的な基礎教養として) |
残念度 | ☆☆(あくまで総論なので、本ブログの趣旨的には) |
発売日 | 平成27年7月10日 |
どうもはじめまして。覆面税理士のKです。
はじめての書評ブログです。
記念すべき第一弾は、節税本の大家、元国税調査官の大村大次郎先生です。
過去、数々の身近な節税手法の紹介で続けてきた大村先生ですが、
本書では、珍しく超富裕層の節税実態を暴いていきます。
トヨタ、政治家、宗教法人、開業医、財団などなど。
みなさん平均年収かなり高めのラインナップになります。
今回は『第5章 開業医の超優遇税制』からのご紹介。
そもそも開業医の保険診療報酬には消費税がかかりません。
保険診療は支払う側が非課税のため、受け取る側も非課税なんです。
平均年収3000万以上といわれる超富裕層の開業医(俺もなりたかった😢)、
本書では、そもそもなぜ開業医の税率が優遇されるのか、
特権化された「割り増し治療費」の存在について、言及していきます。
ただ、これだけではありません。大村先生曰く、
『開業医には相続税もかからない』
そうなんです。
個人事業主、中小企業の社長の最大の課題でもある事業承継。
この点についても開業医は独自の医療法人を利用することで、
高額な相続税を回避できるというのです。
本書では、こういった開業医特権を含む、数々の職業特権について、
大村先生がやや辛口に斬り込みます。
ただ、本書はあくまで総論にとどまります。
具体的な医療法人の作り方や節税手法の解説はありません。
帯のコピーに『悪用禁止』とありますが、
本書の実体は知識本であり、実践本ではないのです(少し残念)。
自分が知らない富裕層の節税の実態を知ることができる。
ビジネスマンの税金の基礎教養ツールとして、
本書は読みやすく、参考になると思います。