概要 | グレーゾーンは白になる17の節税テクニック(コピーのまま) |
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ターゲット | 強気の節税策のガイドラインを知りたい人 |
おすすめ度 | ★★★ |
残念度 | ☆(容易さはないです) |
発売日 | 平成30年9月5日/平成30年10月17日(第2刷) |
どうも覆面税理士Kです。
今回は一般の税理士なら二の足を踏むような節税法についても、理論と証拠書類で毅然と立ち向かう、かなり強気な福岡先生の著書のご紹介です。
本書は柱となる17の節税ルール(方法)だけではなく、通常の「節税本」にはあまり記載されていない、他の既存税理士への批判が結構強めに書かれています。
多くの税理士は、少しでもグレーなら、クロと判断します。責任をとりたくないし、手間をかけたくないし、税務署と喧嘩したくないのです(p.32)。
頭の痛い話です。報酬等の各種要因によりますが、税理士でこれらの事を全く意識していない人は少ないのではないでしょうか。しかし福岡先生はこう主張します。
節税策でも、常にシロの節税策ばかりではありません。グレーな取引は、エビデンス(証拠書類)を整えることで、シロに持っていけばよいのです。
しかし、そうしたことをする税理士は、残念ながら少数派です(p.32)。
これもその通りです。正論であるのでグウの音もでません。税務調査で「グレーな取引」が露見した場合、必ずその取引内容はツッコミの対象になります。会社に必要な取引であるのか、社長の個人的な支出ではないのか等、調査官はなんとかその取引が妥当ではない事を証明しようとするわけです。
それに対し、防御策としてしっかりとエビデンスを用意しておく。理論上、ボールを調査官側に投げ返すことができれば、今度は調査官自身がそのエビデンスを否認しなけれななりません。
このエビデンスの精度が高いほど調査官の否認は困難となり、よって、やや「グレーな取引」でも「シロ」にすることが可能というわけです。
本書では、このような高いエビデンスに基づいた節税例として、『含み損のある不動産を所有する会社社長が、株主構成95%未満に抑えた同族会社を新規で設立し、そこに不動産を売却する方法』や『親族を役員にする際、非常勤の取締役で月収50万、監査役で月収20万を基準として支給する方法』等が取り上げられています。
もちろん、これら特殊な節税手法だけではなく、通常の節税法にエビデンスをプラスすることで、より強固な税務調査対応とする方法や銀行目線での借入金対策等、身近で有用な節税補強法についても多く触れられています。
ただ、福岡先生もいうように、ここまで高いエビデンスを整えられる税理士はおそらく少数派かもしれません。その意味で本書は、多くの人にとって、節税「知識本」に近い位置にあると思われます。
例示箇所がほぼ既存税理士への批判中心なので、読後、若干「海原雄山」的なものを感じるかもしれませんが、実はかなり正統派な「節税本」です。目指せ至高!