どうも覆面税理士のKです。
雑誌やニュースでも取り上げられているので、みなさんもご存じかもしれませんが、少し前に、相続税の大きな改正が発表されました。
今回は先週の『週刊現代(7月27日号)』より『7月1日から「死に方」のルールが変わりました』というショッキングなタイトルの記事を取り上げたいと思います。
記事内では遺言や永代供養等についても詳しく解説されていますが、主に『夫から妻への相続』についての4つの改正点を重点的に取り上げているようです。
夫から妻への相続、四つの変更点
①妻が「住む権利」のみを相続できる
②妻に生前贈与された自宅は遺産分割の対象外に
③遺留分は現金精算が原則に
④夫の両親を介護していた妻も遺産がもらえる
引用:『週刊現代(2019年7月27日号)』p.38
特に①については、令和2年の4月1日施行なのですが「配偶者居住権」として最近大きく注目されてきています。(なお②~④は令和元年7月1日施行になります)
では一体「配偶者居住権」とはどんなものなのでしょうか。
夫や妻を亡くした配偶者の生活資金を保護し、住み慣れた自宅に引き続き住み続けることのできる権利です。
最大の違いは人にあげたり、売ったりすることができない点です。よって、配偶者が死亡すると権利は消滅することになります。また配偶者が直接自宅の権利を相続していない場合でも「配偶者居住権」は発生します。
相続時の建物の評価から「配偶者居住権」(土地の場合は「敷地利用権」)を控除して税金を計算することができるため、税額上節税にはなります。
残された配偶者の中には、利便性や身体機能の衰えにより、将来的には介護などが充実した他の場所へ移り住むケースも多いと思われます。この場合、「配偶者居住権」を途中で合意解除もしくは放棄することになってしまい、今度は「配偶者居住権」が贈与税の課税対象になってしまいます。(あくまで配偶者の死亡によってのみしか消滅しないので)
また、自宅売却による納税資金の捻出がほぼ不可能となるため、財産が自宅に集約されている場合も注意が必要です。
まとめ
「配偶者居住権」は、残された配偶者保護のための選択肢のひとつといえます。ただ父と子が不動産を共有している場合等、条件によっては権利が取得できないケースもあります。
節税効果を求めるよりも、その性格上、(配偶者が複数がいる場合等の)遺産分割をスムーズに行うためのツールとして考える方が良いかもしれません。実際の運用事例を見守りたいと思います。
『週刊現代(2019年7月27日号)』では、他の論点についても特集を組んで詳しく紹介していますので、そちらもご参照ください。(※公開日は期限がありますのでご注意ください)
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