概要 | 扶養制度、遺族年金等、知らないと損する社会保険の盲点 |
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ターゲット | 自営業主、中堅以上の既婚サラリーマン |
おすすめ度 | ★★★★ |
残念度 | ☆(税法上の役員報酬の補足があっても良いかも) |
発売日 | 平成29年4月30日 |
どうも、覆面税理士Kです。
今回は田島先生の社労士本です。
ただ本書は、税務と社会保険の解釈の違いについても
わかりやすく解説していますので、
(全てではないですが、)広い意味で『税務本』ともいえます。
本書では、帯に『扶養家族VS自己負担』とあるように、
一般家庭においても非常に身近なテーマである「扶養」について、
かなり重点的に取り上げています。
というのも、社会保険でいう「扶養」と税金計算上(税法上)の「扶養」とは、
同じ名称であっても、解釈や適用範囲が大きく異なっているためです。
税理士でも「社会保険上の扶養」について、認識が曖昧な人も多いと思います。
わかりやすい例ですが、本書のコラム欄でも指摘しているとおり、
「同棲中のカップル」の「扶養」について、社会保険上はOKとなります。
これは、社会保険上では同居が「配偶者」の前提となるからです。
ただ(補足ではありますが、)税法上では、残念ながらNGになります。
これは税法上では婚姻届が「配偶者」の前提となるためです。
また、中小企業ではよくあるケースですが、
社長の奥さんが103万円以下の給与をとっている場合が多くあります。
(※2019年以降は配偶者控除150万に改正されていますので要注意)
これは「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の範囲内で報酬を設定し、
会社の税負担と奥さんの社会保険料負担を少なくするためのものです。
ただ、本書では、このようなケースでも条件によっては、
「社会保険上の扶養」から除外される危険性を指摘しています。
ポイントは社長の奥さんの給与が、役員報酬に該当するか否かです。
その他にも、夫の退職後の年下の配偶者の年金、遺族年金、
社会保険調査の実態等、興味深いトピックを多く取り上げています。
税金以上に社会保険料が大きな負担となる会社も多いと思います。
総合的な相談を受けがちな税理士にとっておすすめの書といえます。