実践本

会計は「ザックリ」のほうがよくわかる!【上司はあまり教えてくれない!】

著者:西山昌彦(現代書林)
概要 英文会計の基礎からFP&Aの仕事までよくわかる!(裏帯のまま)
ターゲット 経理職に就いたばかり人
おすすめ度 ★★★
残念度 ☆(後半は外資系よりへ)
発売日 平成26年11月5日

どうも覆面税理士Kです。
本日は「節税本」ではなく「会計本」のご紹介です。

本書はビジネスマンガ+ポイント解説の2部構成になっています。

マンガ部分はすごく読みやすいのですが、ポイント解説部分は、マンガ部分で伝えきれない部分を補うため、少ないページ数でありながら、結構な情報量となっています。このギャップ部分を少し難解に感じる人はいるかもしれません。

本書の主人公は、経理事務の契約社員をミス連発でクビになった、春日直美26歳。ドジで真面目で明るい性格、想定キャラは数年前の綾瀬はるかという感じでしょうか。そんな彼女が後半では、「わたし、定時で帰ります。」の吉高由里子的な成長を遂げることになります。

前半はかなり初心者向けですが、逆に基礎的過ぎて、上司や先輩社員の方からは意外と教えてくれないこともあります。

①84,320,000
②3,791,400,000
③5,667,330,000,000 (p.41)

という金額認識の例題に対し、主人公は回答は以下の通りです。

①はカンマがふたつだから百万で四百万の上に八があるから…八千四百三十二万!
②はカンマ3つだから十億…三十七億九千百四十万!
③はカンマが4つだから兆!五兆六千六百七十三億三千万!(p.42)

これは、本書の『3ケタカンマ早見表』に基づくものです。

千 ……カンマ1つ ,
百万……カンマ2つ ,,
十億……カンマ3つ ,,,
兆 ……カンマ3つ ,,,, (p.43)

ある程度の会社のなれば、扱う数字も大きくなります。
経理事務でも会計事務所コンサルでも、上司又はクライアントへ数字報告する際、その場で「一、十、百、千、万……」と数えると、一気に信用度が落ちる場合があります。面識の薄い人に対しては要注意です。

たいていの人は数年後に経験を重ねることで解消するのですが、意識しなければ意外と気付きにくい部分でもあります。

新人の頃から、億単位の金額をさっと読めると、相手の印象は良くなるはずです。そういう意味でも早めに知っておきたい基礎知識といえるのではないでしょうか。その後に出てくる、二ケタの概算計算や売上等の増減分析も同様のものといえます。

これらは会計上の知識というより、相手とのコミュニケーションを築くために必要なものです。筆者の西山先生も前書きで『会計をコミュニケーションのツールと考える(p.4)』言及しているおり、会計におけるコミュニケーション側面の重要性を説いています。

後半からは、主人公の会社が外資系企業勤務である関係もあり、英文会計色が強くなります。職種も財務管理分析部門となるので、専門的用語も多くなります。確かに職種設定は高度になりますが、会計を「コミュニケーションツール」とする基本ラインは変わるわけではありません。難しい箇所については、タイトルの通り「ザックリ」で問題ないかと思われます。特に末尾の企業会計原則については、網羅性も強いわりにページ数が少ないので、他の書籍を参考にした方が良いかもしれません。

本書は「節税本」ではありませんが、「節税」の前提となる上司やクライアントとのコミュニケーション構築に有用な「実践本」ではあります。経理初心者の方にはおすすめです。