実践本

税務調査官の着眼力【まるで相棒の右京さん?】

著者:薄井逸走(中央経済社)
概要 あくまで調査官目線の実例集
ターゲット ある程度、節税本を読みこまれた方
おすすめ度 ★★★★
残念度 ☆(節税「実践本」の読後でなけれは効果半減)
発売日 平成27年6月5日

どうも体調不良で38度の覆面税理士Kです。
みなさんも十分お気をつけください。

本日は、薄井逸走先生の税務調査本です。
税務調査本といっても、
通常の調査の事態を客観的に
論じたものではなく、
全編、調査官目線中心の
小説仕立てになっています。

薄井先生自身、元国税局出身ですので、
かなり調査官は厳しめに描かれています。

全ての物事に共通していることですが、
いくら「練習」を重ねても、
「本番」ではうまく力を出し切れない。
多くの人が経験済かと思われます。

本書は、いわば、今までは
あまり明らかにされてこなかった
「本番」に該当する部分について、
分かりやすく紹介した内容となっています。

会話と心理描写中心にすすむので、
何気なく読み進めていても、
調査官の些細なひとことの裏に潜む、
(納税者にとって)邪悪な意図に、
気付くと思います。

本書の調査官の観察力は、
まるで相棒の右京さん並です。
とにかくいやらしいです。

ただ本書では通達等に基づくトピックは、
部分的に紹介されてはいるものの、
あくまで補足的なレベルにとどまっており、
ある程度の「練習」(基礎知識)なしに
本書を読んでも効果は半減かもしれません。

ぜひとも、前回紹介した、
『会社の節税をするならこの一冊』のような
節税知識を網羅した「実践本」を読んだ後に、
本書を手に取っていただければと思います。