概要 | タイトルの通りです。 |
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ターゲット | 相続税の税務調査がありそうな人、主に奥様 |
おすすめ度 | ★★★★ |
残念度 | (特にないです) |
発売日 | 平成25年8月2日 |
どうも覆面税理士のKです。
本日はタイトルのインパクトが強い、
「相続本」の紹介です。
やや本筋からそれますが、
以前の投稿で、
調査官のノルマの話をしました。
本書では、序盤から
調査官の内情について、
さらに深堀しています。
『国税内部の移動は、7月~翌6月という独特の事業年度で行うのに対し、人事評価は9月と3月の年2回に行われます(P.58)。』
この結果、4月から6月にかけては、
『消化試合的な要素が強く、あまり税務調査に力が入らない時期(P.60)』
ということらしいです。
自分も過去に、同様の発言を
耳にしたことはあります。
「調査を完璧に切り抜ける」ためには、
まず敵の内情を知る必要があるのでしょう。
その後の本章では、
実際の相続の税務調査を
午前、午後の時間軸に分け、
かなり具体的な説明を行っています。
通常の「節税本」であれば、
納税者の行為(発言)について、
リスク中心の指摘に
終始する傾向になりがちです。
その逆に、納税者が本当に知りたい、
「では、どうすれば良いのか?」
「では、どう話せばよいのか?」
については、少し曖昧な表現になる場合が多いです。
相続時の大きな論点の一つに
「名義預金」というものがあります。
息子や嫁名義の預金でも、
実態は夫の預金じゃないのか?
夫の口座から現金を引き出し、
息子や嫁の口座に入れ直したのでは?
ならば、この預金は相続財産では?
税務署は遺族名義の預金についても、
10年分ぐらいは取得済であり、
容赦なく指摘してきます。
『調査官としては、もっともチェックを入れやすいのが家族名義の預金なので、「そのお金はご家族の口座に入れたのではないですか?」と追い打ちをかけてくる場合もあります(P.90)。』
これに対する本書の答えは、
下記になります。
『「それなりに生活費はかかっていました」と説明をしておくのが賢明です(P.90)。』
シンプルではありますが、
ここまで明解な対応を示している書籍は
「節税本」では珍しく思われます。
もちろん、返答理由についても
以後で順序だてて説明しています。
本引用以外でも、
本書には、このような、
納税者が知りたい事項の
具体的な答えが
結構多く記載されています。
かなり薄めの本ではありますが、
著者の自信もかなり感じられる、
タイトル通りの良書でした。