コラム

書評以外の話【役員借入金】

コラム①役員借入金

みなさんお元気ですか。
とうとう咳がひどくなり、
ほとんど声が出なくなりました。
絶不調の覆面税理士Kです。

今回は諸事情(ネタ切れ等)により、
書評でありません。
本ブログはテスト運用なので、
どうぞご容赦ください。
(多分、誰も見ていないと思いますが…)

「(念のための)注意書」
本投稿は何らかの税務処理を
推奨するものではありません。
実際の税務処理の検討等については、顧問税理士にご相談ください。

本日は、K自身の印象に残った、
「役員借入金」についてのお話(備忘録)です。

「役員借入金」は、名前の通り、
会社が、その会社の役員から
借りたお金となります。

中小企業では、積極的な事業運営のため、
オーナーからの借入金が、
多額となってしまうケースがよくあります。
(オーナーの個人資産の持ち出しです)

この「役員借入金」の膨張リスクについては、
『高齢社会の税務』の項で触れました。

今回は「役員借入金」の「利息」についてです。

この「利息」について、
通常の税務処理上では、ほとんど計上しません。

理由の一つとして、税法上、
「個人→会社」への貸付は、
「個人→個人」への貸付と異なり、
経済合理性によるものではないと
される点が挙げられます。

社長個人が会社にお金を貸しても、
金利で儲けるためではない。
そのような場合が多いわけです。

ただ、会社のすべて行為は何らかの、
経済合理性に基づいているともいえます。
(会社の目的は利益の追求なので)

つまり、会社側からすれば、
「会社←個人」の借入金についても、
利息を免除してもらっている以上、
(例えば銀行よりも低利息で借入できた場合、)
何らかの利益を得ている、
そう考えることも可能なわけです。

一見すると、
なんだか矛盾のある話に思えます。

過去、税務調査で調査官から、
「役員借入金の無利息」について、
指摘を受けたことがあります。
(記憶が若干あいまいですが)

しかし、結果的には問題ありませんでした。

その理由は、たとえ「利息」を計上すべき
(経済合理性が認められる)場合でも、
仕訳上は下記のようになるからです。

『(貸方)支払利息/(借方)支払利息免除益』

つまり、経済合理性により、
「支払利息免除益」を計上する場合、
実際には同額の「支払利息」も
計上されているはずです。
よって、両者は相殺可能となるわけです。

当たり前といえば、当たり前ですが…。
改めて考えると、なんとも分かりにくい話です。

さらに分かりにくい補足を入れると、
実際、役員に対し「支払利息」を払うが、
「支払利息免除益」は計上しない。
そんな節税法も実際にはあるわけです。
(昔の書籍で見たことがあります)

もちろん適正利息算定や役員側の収入計上等、
リスク検証は不可避となります。
また調査官対応は少し面倒になるかもしれません。

そんなところで、お時間が一杯一杯。
なにか禅問答のような役員借入金のお話でした。